1981 年 28 巻 2 号 p. 115-121
東北地方沖, 三宅島近海及び潮ノ岬沖の水深620~1270mから得られたアカグツ科ソコグツ属 (新称) Dibranchusに属する8個体の標本を調査した.本属には世界の各地から15種類が知られている.この8個体は体盤がほとんど円形で, 長さと幅がほぼ等しいこと, 体の腹面にも小棘が密生すること, 吻が両顎を越えて突出すること, 鋤骨と口蓋骨に歯がないこと, 第1鰓弓の鰓紀が0+4~5であること, 腹鰭と尾鰭が短いこと, 及び体は黒褐色で, 各鰭が完全に黒色であることなどの形質で, 他種と明瞭に区別される.本属魚類はインド・太平洋では主として赤道海域に分布している.目本からはソコグツ属魚類として本種が最初の記録である.