魚類学雑誌
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カワヤツメ精子の微細構造と先体糸形成
蛇穴 治夫山本 正
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1981 年 28 巻 2 号 p. 135-147

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抄録

精子頭部は棒状で, 先端に先体胞, 次にリング状構造物があり, その後方で核表面は漏斗状にくぼむ.くぼみ底部は核内を縦走する盲管に続く.盲管内には繊維状桿がらせんを巻いて走る.長く伸びた核の表面はその後端近くで側面に盲のうをつくり, ここに平行に並ぶ2個の中心粒を含む.鞭毛は9+9+2の構造を示す.中片は明瞭でなく, ミトコンドリアは鞭毛に沿って少数みられる.
固定時に一部の精子は先体糸を放出する.その形成で, 繊維状桿が先体胞の後膜を押し上げ, 先体胞の前膜と細胞膜が融合する.先体糸は繊維状桿をこれら膜が囲む構造物である.先体糸形成の様式は, 繊維状桿を頭部にもつ軟体.環形動物精子の場合に類似する.

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