スマトラとタイに分布するAcrossocheilus sumatranusの染色体を通常のflame-drying法を用いて観察した結果, 本種が2n=98の染色体をもつ四倍体起源の種であることが判明した.その核型は8本の中部着糸染色体, 36本の次中部着糸染色体, 16本の次端部着糸染色体, 38本の端部着糸染色体で構成されていた.
コイ科ではこれまでに倍数性種が6種知られているが, インド産の1種を除きいずれもユーラシア温帯部の産である, コイ科には一般に10亜科が認められているが, A.sumatranusをも含め倍数性種がすべてコイ亜科かバルブス亜科に属するものであることは趣味深い.