魚類学雑誌
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エビスダイ属の分類の再検討と4新種の記載および1属の創設
John E. Randall清水 長山川 武
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1982 年 29 巻 1 号 p. 1-26_2

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抄録

アカマツカサ亜科の属レベルの分類を再検討し, Ostichthys (エビスダイ属), Myripristis (アカマツカサ属), Plectrypops (リュウキュウエビス属), Cornigerおよび新属Pristilepis (ヤセエビス属, 新称) の5属を認めた.
新属には, 従来のHolotmchys oligolepis Whitley (ヤセエビス) のみが含まれる.本属は, 鼻骨が著しく長大で吻端をこえる, 細長い形の前上顎骨溝 (両側の鼻骨の間に形成される溝), 第1眼下骨に上顎をこえる鋭い棘があり, 上顎縫合部内面に1小歯板をもつ, 基底後頭骨の後下端での突起物の欠如, 18個の尾椎, 成魚でも独立した第2尾鰭椎体 (U2), などの特徴をもつ.
エビスダイ属には, 4新種を含む8種が含まれる.
O.acanthorhinus (新種) は, 成魚でも鼻骨先端に前方に向かう明瞭な1小棘をもち, また前鰐蓋骨の隅角にも1小棘をもつことにより識別される.本種はオーマン湾, インド南西岸およびバリ島から記録された.
O.delta (新種) は, 11本の背鰭棘 (他の全種は12本, 稀に13本) で識別される.本種はインド洋のレユニオン島およびサモア島から採集された.
O.japonicus (エビスダィ) は, 最後の背鰭棘がその直前の棘より著しく長いことにより密易に識別される.さらに側線上方鱗数 (側線から背鰭棘部の中央部までの鱗数) が3.5, 胸鰭条数が通常17, 下肢鯉耙数12~14, 眼窩中央部で第2眼下骨の高さが高く, 背鰭最長棘が比較的短いなどの特徴をもつ.
O.hypsipterygion (新種, ヒレダカエビス, 新称) は, 3.5の側線上方鱗数によりエビスダイに似ているが, 最後の2本の背鰭棘がほぼ同長, 胸鰭条数が通常15, 眼窩中央部での第2眼下骨の高さが低い, 背鰭最長棘が著しく長いなどの特徴により同種から区別される.本種は沖縄で採集された.
O.sandix (新種) は, 3.5の側線上方鱗数により, エビスダイとヒレダカエビスに似るが, 15~16の下肢鰹耙数により両種から区別される.さらに, ほぼ同長の最後の2本の背鰭棘と低い第2眼下骨により前種から, 通常16の胸鰭条数と短い背鰭最長棘により後種から区別される.本種はハワイで採集された.
O.kaianus (カイエビス) は, 側線上方鱗数2.5, 胸鰭条数が通常16, 第1側線鱗の前上方に1小鱗がないなどの特徴をもつ.
O.archiepiscopus (オキエビス, 新称) は, 直線的な頭部側面観と長い吻部により識別される.また, 2.5の側線上方鱗数によりカイエビスに似るが, 胸鰭条数15, 第1側線鱗の前上方に1小鱗があるなどの特徴により同種から区別される.
O.trachypomaは, 2.5の側線上方鱗数によりカイエビスとオキエビスに似る.しかし, 第1側線鱗の前上方に1小鱗があることにより前種から, またゆるやかに突出する頭部側面観と短い吻長により後種から区別される.

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