魚類学雑誌
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イトマキフグ科の稀種キスジイトマキとKentrocapros rospintoの再検討
松浦 啓一山川 武
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1982 年 29 巻 1 号 p. 31-42

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抄録

キスジイトマキとKentrocapros rosapintoは, イトマキフグ科の稀種で, これまでに前者は四国周辺から2個体, 後者は南アフリカから1個体が報告されているのみである.標本数が, きわめて少なかったこともあって, 両種の分類学的位置は, 不明確なままであった.
キスジイトマキの原記載においてKamohara (1938) は, 本種をAFacana属に置いた.その後, 松原 (1955) は, 体甲に棘を欠くことから, 暫定的にイトマキフグ属に含めた.一方, Smith (1949) は, Aracanostracion属を設け南アフリカ沖からA.rosapintoを記載した.
今回, 日本近海, 東シナ海, 南シナ海から採集されたキスジイトマキ6個体, インド洋南西部から得られたK.rosapinto17個体の標本を調べ, イトマキフグと外部形態および骨学的特徴を比較検討することができた.その結果, 両種ともイトマキフグに非常に近縁で, イトマキフグ属に含めるべきことが判明した.
キスジイトマキとK.rosapintoは, 酷似するが, 前者では鯉孔が眼の後半部下方に位置し, 後者では眼の後縁下にあることで識別できる.

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