種々の変異型が知られている日本産ヒガイ属魚類にっいて, 形態形質の比較研究を行った.有効な分類形質を主成分分析した結果, 河川に生息する個体群, 琵琶湖産正常色型, アブラヒガイの3っのグループに整理できた.河川産の個体は正常色・短頭型でS.variegatus variegatus (カワヒガイ, 新称) に, 琵琶湖産正常色型はやや長頭でS.variegatus microoculus (ビワヒガイ, 新称) に分類した.ツラナガ・トウマル・ヒガイはどの形質においても連続し, 独立した個体群として区別できなかった.アブラヒガイは体色が濃黄褐色を呈し, 長頭で, 背鰭黒色横帯が退化的パターンを示すなど最も特殊化している.これらの特徴に基づきアブラヒガイを新種S.biwaensisとして記載した.