魚類学雑誌
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オホーツク海, ベーリング海およびその近接海域から得られたクサウオ科の1新種と4稀種
木戸 芳
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1983 年 29 巻 4 号 p. 374-384

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抄録

オホーツク海, ベーリング海などから得られたクサウオ科のコンニャクウオ属Careproctusとインキウオ属Paraliparisの5種を記載した.新種のダルマコンニャクウオCareproctus cyclocephalusを, 網走沖のオホーツク海から得られた32個体に基づき記載した.本種は, 粛が犬歯状で後方へそりかえっていること, 鯉孔が胸鰭まで達しないこと, 胸鰭の最上鰭条が主上顎骨後端より下方に位置すること, 胸鰭条数が26-31本であること, 腹膜が淡色七あること, また胃が黒いことなどで, 他種と区別される、オホーツクコンニャクウオ (新称) C. macrodiscusとヒラインキウオ (新称) P. grandisは, 従来オホーツク海北部から採集されたそれぞれ1個体のみが知られていたが, 網走沖などから得られた多数の標本に基づき, 第二番目の記録として再記載した、オグロコンニャクウオ (新称) C. furcellusはアリューシャン列島沖およびオホーツク海の中.北部から知られていたが, べーリング海, オホーック海および北海道の太平洋岸沖合などに広く分布することが明らかになった.また, アオインキウオ (新称) P.rosaceusは北太平洋東部の深海からのみ知られていたが, 北海道のオホーツク海沖にも分布することが明らかとなった.これらの5種は, すべて日本初記録である.

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