和歌山県太地沖の熊野灘で採集されたコギクザメEchinorhinus cookei Pietschmaniを簡単に記載した。本報が西部太平洋域における本種の初記録である。本種はキクザメE.brucus (Boiiaterre) と形態的には区別が困難であるが, 皮歯が小さくて (直径4mm以下) 数が多く, 吻部腹面や口の周辺を除く全身にほぼ均一に分布することが特徴である。既往の文献を検討した結果, 本種は西部太平洋域では日本のほか台湾にも分布すること, また, 従来日本で記録されていたキクザメは本種である可能性が強いことを指摘した.