魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
ドジヨウとキンギヨに於ける科間交配の研究
鈴木 亮
著者情報
ジャーナル フリー

1953 年 3 巻 1 号 p. 7-14

詳細
抄録

1.この研究は科を異にするドジヨウとキンギヨの相反交配を行い、その發生及び遺傳子の影響を明らかにしたものである。
2.科間交雜卵は正常交雜のものに比較して、發生初期に死卵が増加し、特に嚢胚期にその増加が著るしかつた。
3.ドジヨウ♀×キンギヨ♂の仔魚に於ては、孵化後最長14日間、キンギヨ♀×ドジヨウ♂のそれに於ては24日間生存せしめることができたが、これら仔魚の多くは、頭部、尾部、卵嚢に著るしい發生障害を見受けた。
4.交雜卵を同温度に保って發育せしめたところ、發生速度に父系及び母系の遺傳子の影響のあることが確認できた。
5.交雜卵から孵化した仔魚の核の大きさ、筋節數、色素細胞の數にも、父系及び母系の遣傳子の影響をそれぞれ確認することができた。
6.以上の結果から、筆者の行つたドジヨウとキンギヨの科間交雜に於て得られる仔魚のうち良好に發育したものはLOEBの考えたような單爲生殖的なものではなく、受精に際し、卵核と精核が融合して生じた科間雜種であることを確認することがでぎると考える。

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top