魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
マダイ仔魚の遊泳・摂餌機能の発達
河野 博多紀 保彦小笠原 義光城条 義興武富 正和井上 正昭
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 30 巻 1 号 p. 47-60

詳細
抄録

マダイ仔魚の遊泳・摂餌機能に関与する形質の発達を観察し, 機能発達との関連を考察した.鰭摺は6.50mm NL (脊索長) で完全に分離した・垂直鰭の支持骨・鰭条の発達は対鰭のそれよりも早く, 約5.00mm NLまでに主要な全要素が出現し, 垂直鰭のなかでは尾鰭の発達が他よりも早かった.脊索末端の屈曲は約5.00mm NLからはじまり, 約6.50mm NLで完了した.体高・脊索長比は約6.50mm NLまで増加し, 以後は比較的一定した値を保った.以上から, マダイ仔魚は約5.00-6.50mm NLのあいだで, 初期の不活発な遊泳から尾鰭推進に移行するものと推論した。摂餌に関与する形質では, 前上顎骨は約7.00mm NLで上顎の主要縁辺を占めるにいたった。顎歯は咽頭歯よりも発達がおくれたが, いずれの場合も7.00mm NL鰍であるていど磁の舗がみられた。以上の観察から, 仔魚の摂餌様式は5.00-7.00mm NLのあいだでswallowingからbitingに移行するものと結論した。上記を総合すると, マダイの遊泳・摂餌様式は, 1) 遊1泳能力があまりなく, swallowingにより摂餌する初期段階 (約5.00mm NLまで), 2) 移行期 (650-7.00mm NLまで), 3) 尾難進とbitingを行う発達した段階の3期に分けることができる.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top