1983 年 30 巻 1 号 p. 72-80
真骨魚13種の生殖管ならびに尿管の末端周辺部位の構造を組織学的に検討した.このうち, シロサケ・アユ・コイ・キンギョにのみ両管を取り囲む特徴的な横紋筋群が見い出された。その形態には多少の種間差が見られたが, いずれの種においても同筋の収縮は両管を閉塞しうると判断された、また, 成熟した雌雄ばかりでなく未熟な個体も同筋を有することから, 同筋は通常, 尿管を括約し, 産卵期になると生殖管の括約筋として機能するものと思われる。残りの魚種には類似の構造が見い出されなかったことから, 両管を括約する機構は魚類の進化とともに変化してきたものと考えられる。