1985 年 32 巻 1 号 p. 66-73
タンガニイカ湖に生息するPerissodus microlepisの「ウロコ食い」の行動を自然状態で観察した.また, 種々の発育段階の個体の胃内容物を調査した.親によって保護されている稚魚は主に動物プランクトンを摂餌し, 親から独立後の未成魚は, 他魚のウロコのほかに動物・植物プランクトン, 底生動物を摂餌した.成魚は, 多くの魚種 (特に, 大型で体高の高い付着藻類食魚) からはぎとったウロコを主要な餌としていた.ウロコをとるための攻撃は主に基底近くから行われ, 時には, 岩の下面やくぼみで待ち伏せた.近くを通過した魚のほかに, 摂餌・ナワバリ行動・求愛行動にかまけている魚をよく襲った.