魚類学雑誌
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土佐湾の砕波帯に出現するヘダイ仔稚魚
木下 泉
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1986 年 33 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

土佐湾の砕波帯において, 1981年5月から1982年5月の間に行われた小型曳網を用いた月2回の採集によって, ヘダイの仔稚魚, 合計515尾 (8.2-17.8 mmTL) が得られた.ヘダイ仔稚魚は, ヘダイ亜科のものの一般的な形態的特徴を持ちつつも, 以下の点で他と識別できる.背・臀鰭の総鰭条数は, それぞれ24.14である.腹鰭第1軟条は伸長しない.体側背縁の小黒色素胞は尾柄部に最初に出現する.ヘダイ仔稚魚は, 土佐湾の砕波帯においては, 3月下旬一5月下旬および11月下旬-1月下旬の年2回に分けて出現し, 最も量的に多かったのは4月と5月であった。過去, 土佐湾の沿岸域や浅海域において, 本種仔稚魚は全く報告されていない.それらの分布域は, 砕波帯のような極く浅海域に限られているようである.

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