アフリカ西岸の熱帯海域の水深160m-460mからハナダイ類の2新種Holanthias cyprinoidesとAnthias helenensisが漁獲された.前種は尾鰭が深く二叉し, 上下両葉の先端が円味を帯びること, 背鰭および臀鰭に延長した棘および軟条がないことなどで, 同属の他種と区別される.後種は大西洋側の南アメリカ産のAnthias asperilinguis Güntherと極めてよく似るが, 胸鰭軟条数, 鰓耙数などの多いことなどで相違する.A.helenensisとインド・太平洋産のPseudanthias pleurotaeniaスミレナガハナダイ, Franzia squamipinnisキンギョハナダイ, Mirolabrichthys tuka (いずれも各属の模式標本) などとの比較研究の結果, A.helenensisはインド・太平洋産の3種とは側線の後方部に彎曲部のあること, 頭蓋骨の形態, 前鋤骨歯帯の形, predorsal bonesの数および幽門垂の存在などの相違がみられる.これらのことから大西洋産のAnthiasはインド・太平洋産のPseudanthias, Franzia, Mirolahrichthysなどとは別属のように思われる.今後Anthiasの模式標本であるAnthias anthias (Linnaeus) との比較研究が必要である.