1987 年 33 巻 4 号 p. 360-367
アンコウ科魚類Lophius gastrophysusの仔魚の頭部骨格と背鰭・胸鰭・尾鰭およびその支持骨の形成過程を記載した.円錐歯は仔魚前期から主上顎骨その他に見られた.背鰭の前方の3棘は前期仔魚では後頭部に位置するが, 成長につれて前方に移動し, 稚魚期には前頭部に位置する.この前進は皮下間隙中の軟骨性担鰭骨の前方への伸展によってもたらされる.プランクトン生活期の仔魚の胸鰭は, 普通の魚類のように体側についているが次第に腹側に移り, 底性生活をする稚魚・成魚では完全な腹位となり足状となる.尾鰭支持骨の骨化は非常に遅く始まり, 21.8mm NLの仔魚でようやくほぼ全ての支持骨が骨化する.尾鰭の8軟条は下尾骨後端にゆるやかに接続している.尾骨の側面には発達したparhypurapophysisがあり稚魚期になるとキール状になる.