津軽海峡に面する津軽半島先端部の龍飛岬近くにある三厩村鳴神地先の岩礁海岸でムツカジカOcynectes modestus Snyder, 1911の標本を20個体 (32.7-62.6mm SL) 得て, 形態の記載を行った.本種はこれまで青森県八戸市鮫で2個体 (Snyder, 1911), 千葉県小湊, 東京都大島で, それぞれ1個体 (Watanabe, 1958), および北海道南部で1個体 (Yabe, 1984) の計5個体の採集例しかなく, 極めて稀な種と考えられてきた.また, 本種は著しい体斑紋をもたないのが特徴とされてきたが, 50mm SL以上の大型個体では体斑紋は複雑であり, 顕著な白色円斑が腹面に密布する.