魚類学雑誌
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土佐湾の砕波帯に出現するニベ仔稚魚
木下 泉藤田 真二
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1988 年 35 巻 1 号 p. 25-30

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抄録

土佐湾の砕波帯において1981年5月から1984年6月の間に行われた小型曳網を用いた採集で, ニベ仔稚魚, 合計211尾 (4.0-19.0mm SL) が得られた, 本種仔稚魚はニベ科のものの一般的な形態的特徴を持ちつつも, 黒色素胞の分布様式と主上顎骨先端の棘により識別できる.本種仔稚魚は, 土佐湾に面する3海岸の内, 手結の砕波帯にのみ, 5月中旬から8月中旬にかけて出現した.出現時の水温・塩分の範囲は, 各々21.7-29.5℃・24.5-31.3‰であった.本種仔稚魚は, 砕波帯に微小ゴミが大量に浮遊する時に豊漁であった.過去, 土佐湾の沿岸域や浅海域では, 本種仔稚魚は全く報告されておらず, 砕波帯およびその付近で微小ゴミに混入しながら生息しているようである.

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