魚類学雑誌
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乳酸脱水素酵素C遺伝子組織特異性の真骨類系統学的研究における意義
Hin-Kiu MokStephen Chang-Ming TsoiSin-Che Lee
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1988 年 35 巻 1 号 p. 31-39

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抄録

真骨類12種の乳酸脱水素酵素 (LDH) を電気泳動法により分析した.これらの魚種におけるLDH-C遺伝子座の発現組織, サブユニットAおよびBの結合性について論議した.サバヒーでは, LDH-C遺伝子座は肝臓で特異的に発現し, コイ目との近縁性が示唆された.サバヒーのA-Bポリマーが等間隔の4本バンドとして発現することは等間隔の5本バンドを形成するコイ目と異なる特徴である.また, イットウダイ科魚類のC4バンドは組織特異性が弱いという事実は, これらがキンメダイ目のなかで原始的位置関係にあることを示唆している.しかし, C4バンドの出現状態はギンメダイ科とキンメダイ目のその他のグループの系統的位置関係を解明するための強力な証拠を与えなかった.

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