魚類学雑誌
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海産浮遊性魚卵数種における卵門の微細構造
平井 明夫
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1988 年 35 巻 3 号 p. 351-357

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抄録

海産浮遊性魚卵9種の卵門及びその周辺構造を, 走査型電子顕微鏡により観察した.浮遊性魚卵の卵膜全体には, 多数の小孔あるいは小瘤が均一に分布する.マイワシ, キス, イサキ, イシダイ, オニオコゼ, ハオコゼの卵では, 卵門周辺の表面が隆起し, この隆起した部分に点在する小孔は, 卵膜全体に分布する小孔より, やや大きく, 明瞭である.卵膜上の小孔が不明瞭なトカゲエソ卵は, 卵門周辺はほとんど隆起せず, 卵門のまわりにはいくつかの窪みが見られる.小瘤が卵膜全体に分布するスズキ卵も, 卵門周辺は平坦で, 卵門トンネル部の回りは小孔でかこまれる.イシガレイでは, 卵門周辺は平坦で, 卵膜上の小孔はトンネル部まで均一に分布する.マイワシ, トカゲエソ, キス, イサキ, ハオコゼ, イシガレイでは, 卵門は表面で漏斗状に開口する.卵門及びその周辺部の形態から, 海産浮遊性魚卵の魚種の同定が可能であると考えられる.

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