魚類学雑誌
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タウエガジ科の一種Anoplarchus purpurescens の腎臓, 副腎およびスタニウス小体の形態
John H. YousonDavid G. ButlerKanella Tsioros
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1989 年 36 巻 1 号 p. 53-62

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抄録

潮間帯に生息するタウエガジ科の海産硬骨魚Anoplarchus purpurescensの腎臓, 副腎およびスタニウス小体の形態学的研究を行った, 左右1対からなる本種の腎臓は, ほぼ全長にわたって融合しており, 腎臓の右側には1本の尾静脈が通っている.腎臓には腎小体が存在するが, 腎尿細管には末部曲節 (遠位曲尿細管) がない.尿細管は, 腎小体から集合管系に合一するまでの間に, 繊毛をもっ頸節と, 2部よりなる基部曲節 (近位曲尿細管) に分化している.集合管や尿管 (前腎輸管) の細胞は特殊化し, 粘液分泌作用をもつが, これは主排出管すなわち1対の原腎管の細胞である.この原腎管との密接な関係のもとに管形成が行われる.副腎相同組織が, 頭腎内を走る尾静脈の周囲に存在する.一方, 1対のスタニウス小体は, 腎臓 (体腎) 後端部に局在している.上述の特徴は, すべて他の多くの海産硬骨魚の腎臓で見出されたものと一致している.

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