ツバサハゼはハゼ亜目魚類の中では水陸両生性のトビハゼ類Peripphthalmusと同等に最も高い大脳化指数を示すものの一つである.この高い大脳化は山の急流に順応したためだと説明できる.ツバサハゼの脳形態はスズキ目の典型であり, 小脳の形態と大きさを除けばハゼ亜目の他の種に似ている.脳構造の量的分析では嗅覚中枢は大きい.他のハゼ亜目のものに較べて視覚中枢は小さく, 小脳は2倍以上大きい.ツバサハゼの中脳被蓋と延髄の脳構成はハゼ亜目の典型を示すが, 脳全体は一般的なハゼ亜目の構成ではない.それは生息環境への高度な生物学的順応により小脳がそれに対応した大きさを示すからである.