魚類学雑誌
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ニセカラスザメの雌雄同体現象
矢野 和成田中 彰
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1989 年 36 巻 3 号 p. 338-345

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抄録

駿河湾とその近海から採集されたニセカラスザメの70個体のうち22.9%のものが雌雄同体, 30%のものが雄, 47.1%のものが雌であった.雌雄同体の16個体の内の15個体では雌の生殖器官である卵巣, 輸卵管, 卵殻腺, 子宮が機能的であったが, それと同時に雄の生殖器官である交接器を持っていた.雌雄同体個体の交接器長は全長510mm以上で急激に増加した.この時の全長は雌の成熟全長とほぼ同じであった.卵巣と子宮は雌雄同体個体では全長500mm以上のもので成熟に達し, 雌では全長500mm, 雄では全長460mm以上であった.雌雄同体のうちの1個体は, 左側の精巣に直径15mmの卵1個が付着していたが, その他の器官は雄として機能していた.

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