魚類学雑誌
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タンガニーカ湖のカワスズメ科魚類Lamprologus toaeにおける両親による子の防衛と両親の役割
中野 繁名越 誠
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1990 年 36 巻 4 号 p. 468-476

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抄録

タンガニーカ湖のカワスズメ科魚類Lamprologus toaeの両親による子の保護様式を潜水調査した.子の保護は岩場に形成されたなわばりで雄と雌の双方によって行なわれ, 両親は同種と他種の両方の侵入者を攻撃した.親の攻撃距離により他種の侵入者は3つのグループに分けられた.親によるグループ分けは主に侵入者の食性と摂餌行動に基づくと考えられ, 子に対する捕食の危険が高いと考えられるグループほど遠い地点で攻撃された.それぞれのグループに対する攻撃の頻度は子の成長とともに変化し, 子にたいする捕食の危険性が小さくなったグループに対する攻撃の頻度は減少した.また, 雌雄間での分業が見られ, 雄がなわばりの周辺部を防衛するのに対して, 雌はより内側の防衛に携わった.子の保護における侵入者にたいする選択的な攻撃と雌雄問に見られる分業の重要性について考察した.

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