淡水産エイ類の内, アカエイ属Dasyatis (アカエイ科) に属するD. garouaensisと, Paratrygonに属するP. aiereba, Potamotrygonに属するP. motoroとP. orbignyi (いずれもポタモトリゴン科) の交接器の相違点を明らかにする目的で比較検討を行った.交接器を構成する軟骨の名称については, 混乱が多いので正確に定義を行った.これら4種の交接器の観察結果に, 他の淡水産エイ類の2種オトメエイ属のHimantura signifer (アカエイ科) とPlesiotrygonに属するP. iwamae (ポタモトリゴン科) の交接器に関する文献資料を加え, これら2科5属の淡水産エイ類の類縁開係を交接器の形態から考察した.その結果, 属間のみならず科間でも交接器の構造に際だった差異は認められなかった.サカタザメ科, ウチワザメ科, ガンギェイ科 (ガンギエイ目) では交接器が相違することに比較すると, これら2科 (トビエイ目) の類縁関係を考究するのに交接器は不向きであることが明らかとなった.