抄録
鹿児島県枕崎産の標本15尾を用いて, ブダイCalotomus japonicusの雌雄性を検討した.雌は雄より小形で, 多くの個体 (n=6) の体長は202-260mmSLの範囲にあったが, 305mmSLの個体も1尾出現した.雄 (n=8) は雌より大形で, 体長範囲は263-345mmSLであった.雌雄による体色の相違が顕著であった.生殖腺の組織学的検討により, 今回の標本の雄はすべて二次精巣を持つことが明らかになった.すなわち, 本種も他の多くのブダイ科魚類と同様に雌性先熟の雌雄同体であることが分かった.今回の標本では一次雄が出現しなかったので, 一次雄が居てもその割合は低いと推定した.