魚類学雑誌
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ヨーロッパ産シマドジョウの1亜種, Sabanejewia auratabalcanicaの染色体分染
P. RábP. RothE.D. Vasiljeva
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1991 年 38 巻 2 号 p. 141-146

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抄録

ヨーロッパ産シマドジョウの1種の東部スロバキア産亜種, sabanejewia aurata balcanicaの染色体を, 通常のギムザ染色, 銀染色, およびC-バンド染色によって調べた.染色体数は2n=50で, 核型は中部着糸型2対, 次中部着糸型6対, および次端部または端部着糸型17対よりなることがわかった.中部着糸型対全部と大型の次中部着糸型2対の動原体近傍には多量のヘテロクロマチンが認められたが, 他の染色体には小さなヘテロクロマチンしかなかった.仁形成部位は中型の次端部着糸型対の単腕部にあった.本亜種の核型はS.aurata kubanicaのものとはことなる.このことから, 広い分布域を持ち大きな変異を示す本種が核型でも多型的であることがわかった.核型のこのような多型的状態は, ドジョウ科の原始的核型と派生的核型の中間的な段階を表しているのであろう.

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