1991 年 38 巻 2 号 p. 191-197
ヒレナマズ科の一種Clarias gariepinusの卵を, 光学及び電子顕微鏡 (走査型, 透過型) で初めて調べた.その形状は, 側面像が毛皮の帽子に似て極あて特異的であることから, 他の硬骨魚類の卵とは著しく異なる.この卵の形は硬骨魚類の中でも珍しい.本種の卵は動物極で基質に付着するが, この動物極には非常に多くの微小な付着糸から成る環状の膨隆部が見られる.これらの付着糸は, 卵膜外層の一部である.環状膨隆部の内側中央に位置する卵門は, 卵膜にまっすぐに開口している.受精にかかわる卵門の位置と併せて, 硬骨魚類における卵接着の様々な様式について比較し論じた.