日本各地で採集したギンブナについて, その倍数性とアイソザイムパターンを調べ, キンブナ, ゲンゴロウブナ, 韓国産フナと比較した.AMY-2のバンドパターンに関して2倍体はギンブナ, キンブナ, ゲンゴロウブナともA型であったのに対し, AB型の個体はすべて3倍体で, 3倍体の約90% (西日本ではすべての個体) がAB型を示した.一方, 韓国産フナはB型であった.キンブナに特徴的なPGMのBバンドが, 東日本の太平洋側産の3倍体の75%と日本海側の3倍体の一部で観察された.また, 東日本の日本海側には倍数性を問わずこの地域に特異的なLDHのパターンが認められた.これらの結果は, 倍数性ギンブナが雑種起源であり, しかも多系統的であるとする仮説を支持するものと考えられる.