魚類学雑誌
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北部北太平洋におけるソコダラ科ムネダラ属とホカケダラ属仔魚の出現
遠藤 広光矢部 衛尼岡 邦夫
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1993 年 40 巻 2 号 p. 219-226

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抄録

北海道沖からアラスカ沿岸沖の北部北太平洋で行われたビームトロール調査により, 18個体 (2.5-13.2mmHL) のソコダラ科Alevin期仔魚が採集された.これらの標本は, 総条骨が6であること, 腹部に発光器をもたないこと, 肛門が臀鰭始部直前に位置することから, ムネダラ属Albatrossiaまたはホカケダラ属Coryphaenoidesに属する.さらに, これら仔魚は尾部の黒色素胞により3型に分けられ, 腹鰭鰭条数, 標内の血管網数, 幽門垂数などの計数形質に基づき, うち2型をムネダラAlbatrossia pectoralisとカラフトソコダラC. cinereusの2種に同定した.種が確定できなかったC. sp.を含め, 3種のAlevin期仔魚の形態を初めて記載した.なお, Gilbert and Burke (1912) により記載されたAteleobrachium pterotumは, これまでイバラヒゲC. acrolepisの仔魚と見なされてきたが, 完模式標本を検討した結果ムネダラの新参シノニムであることが判明した.

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