魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
ギンイソイワシの卵および仔稚魚
塚本 洋一木村 清志
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 40 巻 2 号 p. 261-267

詳細
抄録

ギンイソイワシの水槽内自然産出卵を飼育し, 卵および仔稚魚の形態を観察, 記載した。さらに南日本に分布するトウゴロウイワシ上科4種 (ムギイワシ, ギンイソイワシ, トウゴロウイワシ, ナミノハナ属の1種) の卵, 仔稚魚の形態を比較し, これらの識別方法を明らかにした。ギンイソイワシの受精卵は卵膜の全面にわたり50-65本の纏絡糸を有した沈性卵で, 直径は1.60-1.78mm, 卵黄は淡黄色を呈している.水温18.2-21.8℃では, 13日後に艀化が始まった.騨化仔魚は脊索長5.5-6.7mmで頭部背面に3個の樹枝状黒色素胞が存在する.艀化時にすでに脊索は屈曲を開始しており, 体長12.5-14.0mmですべての鰭条が定数に達し稚魚に, 体長約2董mmで若魚になった.トウゴロウイワシ上科4種の卵は卵径や纏絡糸の分布状態から, 仔魚は黒色素胞の分布状態などによって, 稚魚は体型や鰭の位置関係などによってそれぞれ識別可能である.

著者関連情報
© 日本魚類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top