1993 年 40 巻 3 号 p. 361-362
東大西洋産のニベ科魚類Corvina senegalla Cuvier, 1830の完模式標本を検討した結果, 本種は現在Pseudotolithus (Pseudotolithus) brachygnathus Bleeker, 1863として知られている種と同一であることが明らかになった.これまでも両種の類似性は指摘されてきたが, 背鰭軟条が前者では22本, 後者では25-27本であることから, C. senegallaは完模式標本のみから知られる実体が不明の種としてあっかわれてきた.レントゲン写真の所見から, 完模式標本の尾柄部では脊椎骨の癒合ないしは消朱が生じており, この奇形にともない脊鰭担鰭骨 (背鰭軟条) の減少が引き起こされたと判断される.したがって, P.(P.) brachygnathusにかわってP.(P.) senegallus (Cuvier) が有効名となるが, 同亜属の他の有効名P.(P.) senegalensis (Valenciennes) と混用しないよう注意を払う必要がある.