魚類学雑誌
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メイタイシガキフグとイガグリフグ (新称) の日本からの記録
松浦 啓一坂井 恵一吉野 哲夫
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1993 年 40 巻 3 号 p. 372-376

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抄録

ハリセンボン科のメイタイシガキフグCyclichthys orbicularisとイガグリフグ (新称) C.spilostylusの日本における分布と後者の色彩変異にっいて報告した.この2種はインド・太平洋の熱帯域に広く分布している.両者は日本にも分布するイシガキフグに似るが, 尾柄の背面に棘を欠く点で異なる.メイタイシガキフグはイガグリフグから頭部背面の棘に3根をもっこと (イガグリフグでは4根をもっ棘もある), 体背面と側面に人きな黒色斑が散在する (イガグリフグでは棘の根元に瞳孔大の黒点がある) ことで区別される.今回の調査でメイタイシガキフグは琉球列島, 紀伊半島, 伊豆半島および日本海の能登半島に分布し, イガグリフグは琉球列島と日本海の富山湾に分布することが明らかになった.イガグリフグの日本海の標本は他の海域のものとは尾鰭と胸鰭の色彩が異なり, 鰭の中央部の白色帯が先端と根元の暗色部を分けている.これに対して琉球列島やインド・太平洋の熱帯域の標本では尾鰭と胸鰭は一様に淡灰色である.しかし, 日本海の標本は鰭の色を除くと他の海域の標本と差を示さなかった.

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