魚類学雑誌
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トビヌメリの卵発生と仔稚魚
枝 浩樹藤原 隆典田北 徹
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1994 年 40 巻 4 号 p. 465-473

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抄録

トビヌメリを水槽内で産卵させ, 卵, 卵内発生と仔稚魚の観察を行った.卵は直径0.64-0.72mmで, その形態はこれまでに知られている同属の卵によく似ている.水温23.3-23.6℃で受精後約19時間でふ化した.ふ化直後の仔魚は平均全長1.18±0.026mmで, 楕円形の大きな卵黄をもつ.ふ化後1日目の仔魚は背・腹側膜鰭上に泡状組織と棘状突起を持つことが特徴的である.卵黄はふ化6日後に完全に吸収された.脊索の屈曲は全長4.42mmで開始し, 5.7mmで完了した.底生生活への移行は5.7mmの稚魚で観察され, 12.8mmで完了した.相対成長は2mm, 4.5-6.5mmと11-13mmに大きく変化する.すなわち, 各々の変化は仔魚後期, 稚魚期に達する時期および成魚の体型へ移行する時期にあたる.本種仔稚魚の形態として報告された既往の記載は海から採集した卵の飼育によるもので, 本研究の結果とかなり食い違っており, 卵を誤同定している可能性が考えられた.

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