北海道沿岸から採集されたスミツキメダマウオBathymaster derjuginとマダラメダマウオB.leurolepisの稚魚を記載した.スミツキメダマウオは他の種と比較してより少ない尾椎骨数 (34) によって査定され, またマダラメダマウオは胸鰭鰭条数が18, 背鰭鰭条数が45-46, そして短い上顎をもつという形質の組み合わせにより査定された.また本研究において, スミツキメダマウオの稚魚の鰓蓋上に黒色素胞が観察された.これは成魚の鰓蓋上に存在する黒斑が発現したものと考えられ, 稚魚期におけるスミツキメダマウオの分類形質としての有効性が示唆された.また, Grigor'ev (1992) によって報告された未同定のメダマウオ属稚魚は, その計数形質によりスミツキメダマウオであると考えられたが, Kashkina (1970) が報告した未同定の稚魚はその計数形質が全ての種と重複するため, 査定は不可能であった.