魚類学雑誌
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アカハラヤッコの摂食生態と随伴行動
坂井 陽一幸田 正典
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1995 年 41 巻 4 号 p. 429-435

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抄録

キンチャクダイ科のアカハラヤッコの摂餌生態について, 沖縄県瀬底島のサンゴ礁で調査した.アカハラヤッコは底質をつついて摂餌し, その胃内容の75%以上は有機堆積物と藻類が占めていた.繁殖期には, 雌雄ともに日中の約6割の時間を摂餌に費やしていたが, 雌は雄よりも頻繁に摂餌していた.本種は, 体長の近い様々な他魚種に対し随伴を頻繁に行った.随伴中は単独時に比べ, 高頻度で摂餌し, より小型の個体ほど頻繁に随伴を行った.いくつかの点から, 小型魚である本種は高い捕食圧を受けていると考えられた.アカハラヤッコは他魚種に随伴することにより捕食圧を下げ, 同時にそのことにより効果的に摂餌ができると推察された.

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© 日本魚類学会
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