1995 年 42 巻 1 号 p. 17-20
オホーツク海の北海道網走沖にある北見大和碓周辺の深海域 (水深約1450m) から採集されたカジカ科魚類3個体 (体長52.0-54.2mm) に基づき, ソコカジカ属の1新種Zesticelus ochotensisオホーックソコカジカを記載した.本種は, 頸棘が発達しその後縁の長さが両眼間隔の1.1-1.4倍であること, 鼻棘があること, 前鰓蓋骨最上棘は1本で後側向棘を欠くこと, 涙骨下縁に棘がないこと, 眼窩の前背縁と後背縁が肥厚すること, 後頭部背面が凹むこと, 後頭部の感覚孔が多いことなどの特徴により本属の他の3種と識別される.また, 本種は, 頸棘, 前鰓蓋骨棘などの特徴ではオホーツク海北部から報告されているArtedtellina antilopeに類似するが, 口蓋骨歯を持たないこと, 眼球上部に皮弁を持たないこと, 両眼間隔が広く頭長の12.3-12.9%であることにより, 後種とも識別される.