魚類学雑誌
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インド西太平洋産ニベ科魚類Pannaの再検討
佐々木 邦夫
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1995 年 42 巻 1 号 p. 27-37

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抄録

ニベ科魚類の1属であるPannaは標の前部から1対の2叉に分岐する付属枝が発するなどの特徴を示し, その分布はインド西岸からインドネシアのジャワ島に渡る.従来, 本属には上記の海域に広く分布するP. microdon (Bleeker) とカルカッタ産の体長51.9mmのホロタイプのみから知られるP. heterolepis Trewavasの2種が含まれると考えられてきた.稚魚を含む多数の標本を観察した結果, P. microdonは西太平洋に限って出現すること, さらにP. heterolepisはインド洋に分布する唯一の本属魚類であることが判明した.両種は酷似するが, 背鰭棘数, 鰓杷数, 稚魚の頭部に発達する棘の状態および個体発生における円鱗から櫛鱗への移行のタイミングが相違することで区別ができる.Trewavas (1977) がOtolithoidesに含めたインドシナーボルネオ産のSciaenoides perarmatus Chabanaud の鰾と耳石を観察した結果, 本種もPannaの特徴を示すことが明らかになった.従つて, Pannaには3種が含まれる.

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