1.本報において, 属は同じであるが, 生態のかなり異なつた2種のドジョウ, すなわちシマドジョウとアジメドジョウの側線系が比較考察された。
2.木曽川水系の種類についていえば, 孔器系の発達はアジメドジョウよりもシマドジョウにおいて著しく, 管系の存在はシマドジョウよりもアジメドジョウにおいて明らかであつた。
3.これら2者の側線系の上記のようなちがいを, これら2者の生態上のちがいにのみ結びっけて考えることはできない。
4.これら両種の管系はいずれも退化的傾向を示しているが, このような胴部における退化が尾方に始まつて頭方に向うというDIJKGRAAF (1952) の見解を, アジメドジョウが明らかに示している。