日本スギの花粉によって生じるスギ花粉症は本邦における最も罹患率の高いアレルギー性疾患である。スギ花粉症に対する舌下免疫の有効性が示され,広く行われるようになった。しかし,舌下免疫療法の奏功機序に関しては不明な点が多い。スギ花粉症を含めたアレルギー性疾患に対する舌下免疫療法の奏功機序についてまとめた。舌下免疫療法がアレルゲンに対する免疫寛容には,口腔内の抗原提示細胞の特殊性が深くかかわっている。舌下免疫療法は口腔粘膜におけるエフェクター細胞のリクルートメントと活動性を抑制する。粘膜のランゲルハンス細胞は抗原を取り込み,局所のリンパ節に輸送し,リンパ節では,抑制性T細胞が誘導される。一方,B細胞と免疫グロブリンも重要な役割を演ずる。更に,免疫療法により制御性T細胞が誘導され,アレルギー反応を抑制することについての報告が多数みられるようになった。