耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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症例報告
外耳道に腫瘤を形成したメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の一例と当科における関連疾患の検討
真栄田 裕行比嘉 朋代嘉陽 祐紀鈴木 幹男
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2018 年 36 巻 3 号 p. 245-250

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抄録

抗腫瘍薬の一種であるメトトレキサート(MTX)は,現在では関節リウマチのうち予後不良群に対する第一選択薬として広く用いられている。メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders: MTX-LPD)は,MTX投与中の患者に発生するリンパ増殖性疾患であるが,今回われわれは外耳道に腫瘤を形成したまれなMTX-LPDの一例を経験した。当科においては本例以外に3例のMTX-LPDを経験しているが,原発部位は副鼻腔,上咽頭および頸部リンパ節であり,外耳道発生の報告は国内外の文献を渉猟しても見当たらない。

症例は66歳の女性。主訴は耳漏,耳痛および耳下部の腫脹である。初診時,右外耳道は線維性瘢痕様の表面平滑な腫瘤で占拠されていた。CTおよびMRI画像所見では,右外耳道入口部に造影効果のある内部不均一な腫瘤が確認された。さらにPET画像では腫脹部位に一致してFDGの高集積が認められ,加えて右頸部リンパ節の多発性腫脹も見られたことから外耳道悪性腫瘍が疑われた。外耳道腫瘤および腫大リンパ節の細胞診のいずれにおいても悪性所見は認められなかったが,外耳道腫瘤の生検でReed-Sternberg細胞が確認された。患者がMTX使用歴を有していたことから,最終的にMTX-LPDと診断された。MTXを中止したのちは一連の所見は速やかに消退した。本疾患とEBVとの関連が示唆されているが,本例においてもEBV感染が示された。

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© 2018 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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