耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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総説
上気道の好酸球性炎症におけるアラキドン酸代謝物を介した2型自然リンパ球活性化機構
戸嶋 一郎清水 猛史
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2019 年 37 巻 3 号 p. 217-222

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抄録

活性化した2型自然リンパ球 (group 2 innate lymphoid cell: ILC2) は,多量のTh2サイトカイン (IL-5, IL-13, IL-4) などを産生し,気道の好酸球性炎症に関与している。アラキドン酸代謝物は,局所での生体の恒常性維持や炎症に極めて重要な役割を担っている。アラキドン酸代謝物であるプロスタグランジン (PG) D2やロイコトリエン (LT) C4, LTD4, LTE4刺激によって,ヒトILC2からのTh2サイトカイン産生は亢進するが,PGE2やPGI2, リポキシンA4はこのようなヒトILC2の働きを抑制する。ILC2は周囲の微小環境によって局所での炎症を増悪させるプレイヤーになるため,粘膜局所におけるアラキドン酸代謝物の増減は,ILC2を介した好酸球性炎症において非常に重要な意味を持つ。気道好酸球性アレルギー疾患である好酸球性副鼻腔炎の鼻茸やダニアレルギー性鼻炎の鼻粘膜にもILC2は存在している。本稿では,これら好酸球性副鼻腔炎やダニアレルギー性鼻炎の鼻粘膜におけるILC2とアラキドン酸代謝物との関係について概説する。

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© 2019 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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