耳鼻咽喉科免疫アレルギー
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総説
気管支喘息に合併するアレルギー性鼻炎
―その重要性と対応―
増田 佐和子
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2020 年 38 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

喘息患者におけるアレルギー性鼻炎有症率は高い。アレルギー性鼻炎が喘息の発症や増悪因子となることも知られている。多くのアレルギー性鼻炎に対する経口薬,鼻局所用薬は鼻炎を改善させることで間接的に喘息に良い影響を期待する。抗ヒスタミン薬の中には喘息に適応を持つものもあるが,第1世代薬の中には禁忌となっているものもある。吸入ステロイドを使用している患者に鼻噴霧用ステロイド薬を投与する場合は,バイオアベイラビリティが低いものを選択する。抗ロイコトリエン薬は喘息のコントロールにも用いられ,鼻炎と喘息双方に有効である。一部の花粉症に適応が拡大された抗ヒトIgE抗体も,IgEの関与が大きい喘息を合併する患者では効果が期待できる。アレルゲン免疫療法のうち,我が国では皮下法はアレルギー性鼻炎と喘息,舌下法はアレルギー性鼻炎のみに適応がある。特にダニ抗原の関与が明らかな喘息合併アレルギー性鼻炎患者には積極的に実施したいが,実施にあたっては喘息に対する免疫療法の適応を知っておく必要がある。副反応に対応できる準備をして喘息を良好な状態にコントロールするために,他科医との連携が欠かせない。

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© 2020 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
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