3 カ月齢のホルスタイン種育成牛が下痢症状を示し,抗菌剤や整腸剤等の投与により症状は一時的に改善したがその後再発を繰り返し,発育不良が徐々に進行した.9 カ月齢時に腹部超音波検査を行った結果,target-like sign を示す構造物が右膁部から描出された.同月齢時に予後不良と判断し病理解剖を行った結果,回腸の一部および盲腸全体が結腸内に嵌入していた.重積部腸管における重度の充血や出血,壊死などの変化は認められなかった.重積部に大型の被嚢化膿瘍がみられ,腸重積発生の原因となった可能性が考えられた.一般に腸重積症は激しい疝痛や虚脱などの重篤な急性症状を伴うと考えられているが,本症例から明瞭な急性症状を伴わない腸重積症の存在が考えられた.さらに,腸重積症が慢性下痢や発育不良の発現に関与した可能性も示唆された.