産業動物臨床医学雑誌
Online ISSN : 2187-2805
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原著
2010年に宮崎で発生した口蹄疫の防疫措置終了後に農場内に留置された家畜排泄物のウイルス残存性調査
國保 健浩真瀬 昌司亀山 健一郎池口 厚男田中 康男吉田 和生山田 俊治大橋 誠一深井 克彦森岡 一樹小野里 洋行堀井 洋一郎西脇 亜也飛佐 学佐伯 雄一井戸田 幸子石井 康之山本 直之上村 涼子末吉 益雄川嶌 健司
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2016 年 7 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

わが国における口蹄疫の防疫対策において,ウイルスの汚染が危惧される農場内の家畜排泄物の処理は埋却による処理が原則である.しかしながら, 殺処分畜の埋却すら容易でない事態にあっては,家畜排泄物の発酵処理(堆肥化)や酸性化処理による病原体の不活化についての検討が求められるが,環境中でのウイルスの残存性に関する情報は少ない.本稿では,2010年に宮崎県での口蹄疫発生において,防疫措置終了後の畜産農家15戸に留置された家畜排泄物(使用済み敷料を含む糞便,スラリー,畜舎汚水)について,ウイルスの残存性に影響すると考えられる温度,pHおよび推定含水率(容積重量から推定)を調査した.堆積した固形家畜排泄物の平均温度(47.6℃)は外気温より高く,pHは7.3 ~ 7.6の範囲にあったが,その含水量は農場でさまざまであった.さらに,その堆積期間にかかわらず,切り返し後の堆積した固形家畜排泄物の温度(深さ50cm)は,50℃以上に上昇した.排水設備内に貯留した畜舎汚水および浄化処理水の温度は25.8 ~ 32.4℃の範囲であり,pHは6.3 ~ 8.7であった.留置された家畜排泄物ならびに畜舎施設のふき取り試料を採取し,口蹄疫ウイルスの残存をRT-PCR法を用いて検討した結果,いずれの試料においてもウイルスの残存は検出限界以下であった.当該ウイルス株(O/JPN/2010株)は中性域(pH7.0 〜 7.8)でも,50℃,7日間の加温処置などで検出限界以下となることから,家畜排泄物処理時の適切な飛散防止措置は必要となるが,堆肥化などの適切な処理により,汚染家畜排泄物を原因とするウイルスの再発は限定的と推察された.

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© 2016 日本家畜臨床学会・大動物臨床研究会
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