産業動物臨床医学雑誌
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短報
アルギニンの給与が黒毛和種肥育去勢牛の血液生化学検査成績に及ぼす影響
松田 敬一前田 洋佑岡田 徹大塚 浩通
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2016 年 7 巻 1 号 p. 9-13

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抄録

アルギニン(Arg)は,様々な生理作用を現すアミノ酸であり,ヒトにおいて成長ホルモン分泌促進作用があると報告されている.しかし,黒毛和種肥育牛におけるArgの生理作用はあまり明らかにされていない.今回著者らは,Argを黒毛和種肥育牛に給与し,血液生化学検査成績に及ぼす影響を調査した.調査には10カ月齢の黒毛和種肥育去勢牛20頭を用いた.試験開始より3カ月間にわたり,L-Argを20%含有したArg含有混合飼料(50g/頭/日)を給与した10頭を給与群,非給与の10頭を対照群とした.Arg給与前(10カ月齢),給与後(13カ月齢)および給与終了3カ月後(16カ月齢)に採血を行った.血液生化学検査として,血清ビタミンA濃度,血清ビタミンE濃度,血清総コレステロール濃度,血清総タンパク質濃度,血清アルブミン濃度,血清尿素態窒素濃度,血清遊離Arg濃度および血清インスリン様成長因子1(IGF-1)濃度の測定を行った.血清遊離Arg濃度は,2群間で有意な交互作用が認められ,単純主効果検定の結果,給与群の13カ月齢が給与群の10,16カ月齢および対照群の10,13,16カ月齢に比べ有意に高い値を示した.血清IGF-1濃度は,Argの給与後,給与群が対照群に比べ有意に高い値で推移したが,牛がArgを摂取した時のIGF-1分泌に関する生理作用は明らかになっていないため,今後詳細に検討する必要がある.本試験の結果から,黒毛和種牛に対するArgの給与は,給与期間中の血清遊離Arg濃度を増加させることが示唆された.

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© 2016 日本家畜臨床学会・大動物臨床研究会
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