法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
録画された自白 : 日本独自の取調べ録画形式が裁判員の判断に与える影響
若林 宏輔指宿 信小松 加奈子サトウ タツヤ
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 12 巻 1 号 p. 89-97

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抄録

米国の心理学者D. Lassiterの一連の研究によれば、自白の任意性の判断は被疑者正面だけを撮影した映像を見た場合は高く評価され、取調官単体を撮影した場合は低く評価される。このカメラの撮影アングルの違いによって判断が歪む現象をCamera Perspective Bias (CPB)と呼ぶ。日本においては"取調べの可視化"に関して、日本独自の取調べ録画再生方法が行われている。即ち取調べ録画映像は、画面を9分割し、左上9分の4(画面大)に被疑者の上半身のみ、右下9分の1(画面小)には取調官の背中側から被疑者に向かって、部屋の様子がわかるように撮影したものを再生するシステムである。本研究では、この日本の映像再生手法におけるCPB効果を検討したところ、Lassiterらの指摘する任意性判断の差、そして有罪判断にカメラ・アングルの効果は確認されなかった。しかし実験参加者の視線が提示画面上のどこに向けられていたかについて視線解析装置を使用し測定したところ、参加者の視線は提示画面内の大きい画面に集中した。本研究は、二画面での映像を提示する場合、被疑者中心の映像を大きい画面に提示しないことが望ましいことを示唆する。

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© 2012 法と心理学会
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