法と心理
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裁判員裁判の量刑と控訴審(法と心理学会第14回大会公開シンポジウム 裁判員裁判と量刑不当)
原田 國男
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2014 年 14 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

本稿は、裁判員裁判による量刑に対して控訴審は、どのようなスタンスで審査すべきかを検討したものである。1項破棄された事例と2項破棄された事例について具体的にその特徴を示した上、近時の著名事件3件(大阪アスペルガー事件、死刑判決破棄事件2件)に言及した。それを前提に、控訴審からみて、是認できない量刑判断と是認できる量刑判断とがあると考えた。前者としては、被告人の精神状態、少年、反省、前科等について、国民の量刑意識と裁判官のそれとが大きく乖離する場面では、裁判官の従来の考え方を基本的に正当であるとし、後者としては、被害感情の重視と被告人の改善更生の可能性への深い関心については、その考慮の程度が枠を超えるものでなければ、是認すべきであると結論付けた。ただし、強姦未遂と既遂の同視、強制わいせつの強姦化、傷害致死の殺人化については、控訴審の介入も認めるべきであるとした。

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© 2014 法と心理学会
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