法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
裁判員は何を参照し、何によって満足するのか : 専門家-非専門家による評議コミュニケーション
村山 綾三浦 麻子
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 15 巻 1 号 p. 90-99

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抄録

本研究の目的は、裁判員裁判を模した専門家-非専門家の評議過程において、(1)非専門家が有罪・無罪判断に用いる材料が事前の意見分布や評議前後の意見変容のパターンによって異なるかどうかを検討することと、(2)裁判員の主観的成果の指標として満足度に注目し、評議の満足度を高める要因を多面的に検討することである。実験協力者の裁判官役1名(常に有罪を主張)、実験参加者の裁判員役3名の計4名からなる30集団が有罪・無罪判断を決定する評議を行った。大学生90名のデータを対象とした分析の結果、非専門家は、専門家や多数派の意見を参考に自らの判断を行うこと、評議に関する満足度には専門家に対する信頼の程度や、専門家や自分と同じ立場である非専門家との意見の相違などが影響することが示された。事件内容の理解も満足度を高めていたが、評議中の発言量とは関連が見られなかった。裁判員の評議への実質的参加を高める評議デザインについて議論した。

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© 2015 法と心理学会
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