2017 年 17 巻 1 号 p. 1-2
近年、足利事件、東電女性社員殺害事件、東住吉事件など、捜査過程や科学鑑定での誤りによっ て発生した冤罪事件について無罪判決が出されている。これらの事件では、本来合理的かつ中立的 であるべき科学鑑定が、心理・認知バイアスによって様々な形でゆがめられたことが冤罪を生み出 す要因の 1 つになったと考えられる。また、2016 年 4 月より、アメリカの冤罪被害救済団体であ る「イノセンス・プロジェクト」を参考に、その日本版として「えん罪救済センター」の活動が始動し た。本シンポジウムでは、日本版のイノセンス・プロジェクト「えん罪救済センター」に関わる研究 者、実務家による事例報告と議論によって、捜査過程や科学鑑定が心理・認知バイアスによってゆ がめられ、冤罪が生みだされる構造について検討を行った。