法と心理
Online ISSN : 2424-1148
Print ISSN : 1346-8669
司法と支援の連携
国際比較と地域での回復支援の観点から
水藤 昌彦
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 18 巻 p. 21-28

詳細
抄録

本稿は、シンポジウム報告を受けて、日本における「治療的司法・正義」に関わる実践、特に司法 と支援の連携についての課題の一端を提起することを試みたものである。オーストラリアにおける 司法と支援の連携の現状との比較として、(1)更生支援と問題解決型裁判所、(2)強制的介入にあたっ ての権利擁護、(3)矯正保護の分野における障がい者政策、(4)専門領域の形成と専門職養成、(5)社会 状況との関係、について概観し、今後の実践にとって参考にできると思われる点を示した。また、 地域における回復支援に関わる支援機関の課題として、目的整理、支援機関による犯罪行為者への 支援経験の少なさと罪名によるラベリング、支援機関の権力性、利用可能な社会資源の各問題を指 摘した。今後、社会安全のための統制や監視の手段として支援機関が利用されることなく、支援者 としての役割を適切に果たしながら連携を推進していくためには、シンポジウムで提起した「治療 的司法・正義の実践が、専門職支配による新たな社会統制の仕組みとならないためには何が求めら れるのか」という点に加えて、ここに示した事項を含めた、広範な課題について更なる議論を重ね ていくことが必要である。

著者関連情報
© 2020 法と心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top